夢前町の荒神山に来ています。お客様との打合せがあったからなんですが、久々にこの団地を全てまわりポスティングしました。暑い!
この夢前町前之庄の荒神山ですが、私にとっていろんな事があり、多くのことを学べた場所なんです。
リフォームの営業活動において、当然ながら「工事をさせていただいているご近所」というのは契約がそれ以外の場所に比べてあがりやすいんです。
「斜め向かいの田中さんが足場を立てて外壁の塗装工事をしている。うちもそろそろと思ってた。では、この機会に!」というのがよくある心理なんです。
教えてもらって新人の私は知ってはいましたが、体験していないのでそれがどのようなものかわかりません。
それを自身の営業活動で実体験させてもらえた場所。
あのとき毎日何回もこの団地に来たなぁ。
工事をさせていただいたお客様も20軒くらいあります。
ポスティングなんかやりすぎて家を見るだけで表札が頭に浮かぶほどでした。
そしていろんな想い出が。
雨樋が割れているのを直してと言われ、ついでに外壁の塗装をしませんか?と軽くダメもとで言うとすぐに「やっといて!」と言ってくれたお客様。今日もお伺いしました。
私より背の高い、10年くらい前でたしか94歳くらいのご主人様。戦争の話を2〜3時間聞かせていただき、晩御飯の時間になり、ご飯とお味噌汁をご馳走になったんですが、換気扇だけのお話だったんですが「ワシにあんたの長い時間使わせて、こんなもんだけやったら帰れへんやろ」と屋根の塗装とクロスの張替えを余分に契約くださったお客様。
そして、そのご主人様は数ヶ月して亡くなり、その4〜5年後にその家に引っ越してきた娘様夫妻にたまたま内装の見積もり依頼を今の会社でいただき、その話をすると「すごい縁やね〜!へえ、うちの父親もお世話になったの!」と感動してもらえました。「厳格な父親でね〜」と言われていましたが、他人の、そして若造の私にはとても優しかった。
今もうちに来てもらっている塗装の業者さんの職人さんが屋根から落ちて救急車を呼び団地内で騒動になったこともあります。
救急車といえば別のお客様ですが、家の前で梅酒を飲まれていたところを私が話かけました。どんないきさつかは忘れましたが、床下を点検するような話になり、その場はつなぎ(服です)を持っていなかったので、家で作られている梅酒を大量にいただき(それをきっかけに私も梅酒作りをしてみて、うちの平本にもあげました)帰り、後日伺いました。
床下を潜って点検し、上に戻ってくるとご主人様がもがき苦しんでいてあわてて救急車を呼びました。
心筋梗塞だったようでお客様の息子様にすごく喜んでいただき息子様の家を工事させていただきました。そのお客様もご入院の後すぐに元気になられ、そこは床下の工事をお世話になりました。
増改築の大きな案件をいただけ、たしか5〜6回打合せしたり図面を書いたり、見積もりなどかなりの時間をつかって話をしていたお客様、一回2〜3時間は費やし、毎回一緒に施工管理の担当と伺ったのにいざ契約の段になると、今までの事を全て覚えていないご様子で、娘様にもしやということでお電話したら認知症だった。普通に話もし、すごく間取りや図面に対しても的確な回答をされるので全然気づかなかった。入魂していたので帰りの坂道を運転中、涙がボロボロ流れたのもこの荒神山でした。
見込みネタにしていたお客様。仕事もされていてなかなかおうちにはおられないのですが、おられたら必ず酔っているようなベランメェ口調。
感覚でこのお客様はする方だと判断し、見込みにしているんですがとにかく怒るんです。
その日も、もうとにかくアポを取ろうと設定しようとすると「おったら聞くわ!でも約束はせん!ワシがどうしようとおまえにとやかくいわれる筋合いはない!」的な事を電話で言われ。こっちもやけくそになり「もう、おってくださいよ!月曜日の19時ですよ!」それに対して「知るかー!そんなもん!おまえ遠いとこきてもおるか知らんぞ!」私は月曜日が休みだったのでアポを入れようとしたんです。営業日でしたら「不在でした」なんて上司に報告できませんからね。
そして、その月曜日。
私は「多分おってないやろうな〜」と思い、なぜか当時付き合っていた彼女と居酒屋へ。そして、当然のようにビールを飲み、一応約束の時間の前に電話だけしようと居酒屋から電話してみました。(最低ですね)
すると「お前来るんちゃうんかえ!ワシ帰ってきたっとんやぞ!えらそうに言いやがってどんな奴が来るんか思てのう!」とかちわめかれる。
私は「すみません!すぐに伺います!ただ、僕お酒を飲んでいまして、いいですか?」と聞くと急にお客様は笑いだし「おもろい営業マンやのう!団地の入り口に缶のウイスキーがあるからそれを何本か買うてこい!」と言われました。
私はすぐに居酒屋を出て、たしか着替えて彼女に運転してもらい荒神山まで行きました。月曜日の夜。
ウイスキーを買って伺うとお電話とは打って変わって「おう!お前かはっはっはっはー」と陽気なご主人様が出てこられました。
そして、今までいろんな営業マンが来たけどみんな来なくなった。お前はなんぼ言うても電話してくるし、挙句の果てに酒まで飲んでくる。面白いなぁというようなことをこんこんと話され「んで、うちの外壁を塗りたいんやろ」と言われたので「はい!屋根もモニエル(セメント瓦)なんで一緒に!」と言うと「んじゃ、やって!」と見積もりする前におっしゃっていただけました。
今では驚きませんが、その時は少し動揺しながら「ありがとうございます!」と見積もりをさせていただいている途中に「内装もやっとんか?」と言われ、その日その場で全て見積もりし、350万円くらい受注させていただきました。
何回も断ったんですが、缶のウイスキー代もきちんと下さり、車で待っていた当時の彼女にコーヒーまでいただきました。
工事中にもまだ他にもいろんな工事をさせてくださり、20歳くらいのやんちゃそうな娘様と二人でお住まいだったんですが、娘様にも「あのお父さんがあいつは気に入った、なんかなかなか言わへんで〜、うちの彼氏なんかひどい目におうたんやから(笑)」と言っていただけたのを覚えています。
普段は地場では有名なメーカーにお勤めの方で、飲むと口調は悪いですがすごく優しいお客様でした。
長いこと営業しているといろんな事があります。そして、助けてもらっています。
荒神山にはいろんな想い出があり、チラシを持ってまわっているとつい先日のように思い出してしまいました。
今日は176部ポスティングしたんですが、多分どちらからかお電話がかかってくるでしょう。なぜかわかりませんがそんな気がします。
2015年05月13日
荒神山の想い出
posted by orangeknight at 16:22
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