エステーの会長である鈴木喬(たかし)氏の書かれた「社長は少しバカがいい。」を読みました。
皆さんご存知だと思いますが、エステーとはあの有名な「消臭力」「消臭ポット」「脱臭炭」などを作っているメーカーです。
日本生命で営業をされていた氏が、お父様とお兄様が創業されたエステーに85年に入り、経営難となっていた98年に社長に就任してからの話です。
現在は押しも押されぬメーカーですが、いろいろな苦難があったことが書かれ、タイトルには「バカ」とありますが、全くバカなどではなく、「バカなふりや大将は動じてはならない」などという内容でした。
全て勉強になりましたが、何点か特に印象に残った点をご紹介します。
まず、「率先垂範は管理限界になる。」
うちの会社くらいならともかく、規模が大きくなるとやはりそれでは管理はできなくなるんでしょうね。
書かれているのは「社長は忙しい。だから、できるだけヒマになるようにしなければならない。そのためには、社長にしかできないことしかやらないことだ。それ以外は、部下の責任のもとでやらせる。心配になるが、心配したってしょうがないと割り切る…。」
たしかに、現場に行く事で見えるものもあるんですが、そういう個別の問題で時間を取られると会社の進歩は著しく遅くなるとは実感しています。
「考える時間」というものがもてないと「実行」に移せないのでいつもまでも中途半端なイメージでしかないからです。
本には「一意専心では大局観を失ってしまうのだ。」とありました。
そしてメンタルタフネスの重要性を書かれていました。
「生きていれば、失敗もすれば、間違ったこともする。批判をうけることもある。間違ったことをすれば頭を下げる。失敗すれば原因を明らかにする。だけど、いちいち引きずらない。自分をいたずらに責めない。イケシャーシャーと笑う。心の状態が良ければ、判断を大きく間違えることはない。」
たしかに、毎日いろんなことがありますし、全て成功しませんし、あやまちもおかしてしまう。ただ、このイケシャーシャーで図太く生きるというのは経営者の資質として必要な要素だと思います。
「あの人図太いなぁ〜」は褒め言葉くらい思っておかないと負けてしまいますもんね。
そして最後「独裁でなければスピード経営はできない。民主主義経営、その実態は無責任経営」とありました。
「そもそも民主主義では会社は動かない。民主主義と言えば聞こえはいいが、その実態は無責任経営だ。合議、多数決などを隠れ蓑にするための民主主義なら、ないほうがよっぽどましだ。実際、民主主義で経営したほうが社長は楽だ。責任をとらなくていいですから。辞任すれば責任をとったと勘違いしている人が多いが、道義的には社長は無限責任を負っている。その覚悟をもったうえで、暴走できるくらいの権力がなければ社長は良い仕事をすることはできない。」
深いなぁと思います。言葉ではサラッと書かれていますが、実に本質をよくついていると思います。
全体的になんですが、考え方として実にリアリスト。きれいごとだけでは経営はできないというのが此処彼処にでています。愛読書がマキャベリの「君主論」というのですからすごいわかります。もうひとつの「韓非子」というのは読んだことがないんですが、いろんな要素を取り入れたいのでぜひ読んでみようと思います。
「器を大きく!はっはっは!」と聞こえてきそうな本でした。よかったらどうぞ。
2013年07月02日
「社長は少しバカがいい。」を読んで
posted by orangeknight at 12:10
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