祭りがあるから仕事を休む。
姫路に生まれて育った人にしか理解できない感覚の代表格です。
当然私には何の違和感もないです。
風邪で熱があっても仕事は休みませんし、従業員が「熱があるので休ませてくれ」と言ってきても内心、特に男には「どうしても無理か?」と思ってしまうのが私の感覚。
しかし、祭りに参加するので仕事は休ませていただこうと思いますし、従業員がそう言ってきても「そうか、怪我をしないようにね!」とにこやかに許可をする。
心の中には「年に一回のことですから」しかない。
おそらく地元の人間以外には心からわからない感覚だと思うのですが、姫路の人間は「祭りなので仕事を休む」は言うなれば順番みたいなもので罪悪感はない。
もっともこれは小さい時からの積み重ねで、保育園から幼稚園、小学校、中学校と学校自体が休校になっていましたし、高校もそれこそ休むのは地区ごとの順番制みたいなものでした。
24歳の祭りの時、前に勤めていた会社で初めての祭りが近づいてきました。
まだ入社一年も経っていませんし、地元の上司ではなかったのでなかなか「祭りなので休ませていただきたいのですが」が言い出せませんでした。
悶々としていたのですが、結局言い出せたのが祭りの一週間前、上司にこう言われました。「では、この一週間でグラフ(営業マンなので売上がグラフになっていました)を〇〇までやるように」
一週間いつも以上に走り回りました。休みたかったですから。
しかし、悔しいことに前々日まで結果出ず。あと1日しかないというところで伺ったのが、山電飾磨駅の南の宝くじ売り場のすぐ西にある、飾磨区恵美酒のF様のおうちです。
こちらは数ヶ月前に、屋根の漆喰工事を私が飛び込み営業で新規でお世話になったお客様。
その時に「もう少ししたら外壁を塗装しないといけないなぁ」とおっしゃっていたのを覚えていたのでダメもとで伺いました。
外壁塗装をさせてほしいのですと、身勝手かもわかりませんが、私は明日の灘祭りに行きたい。そのためには成績が必要なのです、と正直にお願いしました。
F様のご主人様 当時60歳すぎはにこやかに言ってくれました。「ハッハッハー、そうか、いくらになる?やってもらおか!ハッハッハー」と。
涙が出たと思います。嬉しかった。それから16年、あれからたくさん、今でも仕事をくださいますが、そんなことがありました。
祭りが終わり、翌日すぐにお礼に伺いました。
「ケガせんでよかった、よかった」と笑顔で対応してくださいました。
毎年思い出します。ずっと感謝しています。こんな心意気を、私も見習いたいと思って今生きています。
祭りの日に休む。そういう感覚の話と、昔あった出来事でした。
2017年10月09日
祭りがあるから休む
posted by orangeknight at 19:25
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