屋根の上を歩いたことがありますか。
ぜひ、歩いてみてください。
屋根っておうちを守ってくれてるなぁと気づきが得られますし、10年、20年、そして30年経つと、意外と傷んできているのが分かります。頑張ってくれているんですね。
写真のような瓦屋根の上を歩くと「ガチャ、ガチャ、ガチャ」という音がなります。陶器の器どおしが押し合い、擦れるような音です。
瓦が動くので音がなるのです。
そうなんです。瓦はほとんどの部分が置いているだけなんですよ。
厳密に言うと、屋根の瓦は「葺く(ふく)」という表現をするように、置いているのではなく重ねて並べているのですが、固定はされていないんです。
最近の瓦は、瓦と瓦がロックされる構造のものも多数ありますが、築20年以上経過した和型の瓦の屋根は、通常は一部分しか固定されていません。
屋根を上から見るとこのような形になっています。
一枚一枚釘で打たれて下地の板(野地板)にしっかりと固定されているのは、下の写真のオレンジ色の部分。
黄色い部分は並べているだけです。
なので黄色い部分は指1本で瓦はめくれます。
これは間違った施工ではなく、それが通常の工法で、私も初めて屋根に上がり、職人さんに教えてもらったときは驚いたものです。
建築基準法でも「2枚通りまでは1枚ごとに緊結するように」と定められているんですね。
ただ、釘で打たれていないからといって、瓦がすぐにずり落ちるかといったらそうではありませんし、建てられて30年もしたおうちですと、釘で打っている部分でも釘が錆びてやせ細り、スカスカの状態になっていることもあります。
なのでやはりそれくらいの年数になると一度屋根はメンテナンスした方がいいとは思いますね。
だいたい瓦の寿命は50年くらいです。
ただ、歯と同じで、きちんと並んでいる状態をキープしていけば、多少瓦が痛んでも60年、70年大丈夫です。
固定されていませんので、瓦がグラグラ動き出した状態だと築30年、40年でも葺き替えが必要になるんですね。
意外と知られていない、瓦はほとんどの部分が固定されていないという話でした。
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