セミナー57「施主と施主のお母様は他人!?」

契約書の話で以前にこんなことがありました。

 
例えばこのように息子様の名前で契約したんです。

 
 
契約書

 
工事場所は、仮の名ですが原太郎さんのご実家でした。お母様、こちらも仮の名前ですが、原チヨさんがお一人で住まれていたんですね。

 
元々そのお母様チヨさんが以前からの私のお客様でした。

 
母がいつもお世話になっているからと、別のところにお住まいの息子様からまずまず大きなリフォームの依頼があったんです。

 
お金を出すのは息子様。住むのはお母様。いずれ将来は息子様が帰ってきて住むというような内容でした。60歳の息子様、80歳のお母様という感じです。

 
 
工事中は現場にはお母様しかいなく、私も以前から顔見知りなもので、工事の小変更をお母様から依頼され、それを聞きながら進めていました。

 
そこで問題が起こったのです。

 
息子様が「そんな変更は聞いてない」と仰られました。例えば窓の位置とか、既存の土壁をどこまで解体するかのような事でした。

 
私や現場を担当していた者は「お母様からご依頼がありました」と言ったのですが全く通りませんでした。

 
非常にトラぶり、出るとこに出るまでこじれたんですね。

 
私が未熟でした。

 
 
オレンジナイトの顧問弁護士曰く「施主(契約者)とお母さんは他人。言ったら近所のおばちゃんと同じです」と。

 
 
素人っぽい感覚では、息子様の名前で申し込まれても、住んでいるのはお母様で、お母様も積極的にあーしてほしい、こーしてほしいという方なのだから、意見を聞くのは普通だし、まかり通るのではと思うのですが、法的には別人格らしいです。

 
親でも子供でも、近所のおばちゃんの意見を聞いたのと同じだという事でした。

 
あくまで施主は原太郎氏なので、原チヨ氏がこう言っているが、よろしいですかと確認し、文書にサインをもらって変更するのが冷たいようだが今の時代のやり方であるとなり、結局やり直すところはやり直し、うちの主張もし、あとは年単位で話し、和解しました。

 
高い勉強代になったのですが、親子でもご夫婦でも、意思疎通がなされていなければそういうことになるんですね。

 
弁護士の先生に「近所のおばちゃんが、ここはやっぱりこういうふうにして。と言われたらその意見を聞かないでしょう。同じですよ。請負契約というのは字の如く、請たら負けやと思って最大限に防御して進めんとね。」と言われたのが切なかったです。

 
 
失敗談ですが、契約書に記載する契約者の名前ってすごい重みがあるんです、という話でした。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ページトップ