社長の日記「つみかさね」

社長の日記「つみかさね」

2021年05月07日

ええ職人になれへんぞ!

私は「仕事ができるやつはメシは早く食べる。反対に、メシをちんたら食べているやつは仕事が出来んやつだ」で育った世代だ。

 
今は時代錯誤かもしれないなぁ。でも私と同じくらい、また年配者はそうだろう。

 
 
昔、回転寿司でアルバイトしていたとき、通し(朝から晩までの勤務)で仕事をさせてもらっていた土曜か日曜日のある日のこと。

 
飲食店なので昼ご飯はアイドルタイムとなる。

 
当然ながら順番としては、最初に店長とパートのおばちゃんのボス、それが終わったら主任とパートのおばちゃんNo.2の人、そして社員となり、アルバイトの私は最後である。

 
そこに何の不満もないし、むしろそういう序列は大切だと思っている。

 
しかし、やっと昼ご飯の順番がまわってきた16時ごろか。

私だけいつも大盛り盛りにしてもらうご飯と、どんぶりに入れてもらった味噌汁、そしておかずの弁当を裏の事務所で食べ始めて1分くらいした時のことだった。

 
T店長が血相を変えて入ってきた。

 
「魚住っ!いつまでメシ食いよんや!そんなんでええ職人になれへんぞ!」と大きな声で怒られた。

 
私はまず心の中で「僕は職人にはならへんけど」と思ったが、そんな事は口に出来るわけもなく、そして言い訳もせず「はい!」とどんぶり味噌汁に、これまたどんぶりに入った大盛り盛りご飯をぶっかけ流し込んで食べた。

 
一刻も早く戻らねばと噛まずに食べ、厨房に戻って店内を見たら、お客様が満席で、待ち席も急にいっぱいになっていた。

 
 
その夜、T店長が「あ〜魚住、昼メシはすまんな。S谷と間違えた。ほんますまんすまん。Iさん(パートのボス)にあの子は食べ始めたばっかりよと言われた。すまんすまん」と言われたあの時が懐かしい。

 
しかし、あのとき私がちんたら食べていたら、急に忙しくなった店は回すのがしんどかっただろうから、早く食べて良かったと思った。

 
それ以来である。仕事中の昼ご飯は早く食べるものだと思ったし、それが私の美徳となった。

 
 
晩御飯は毎日お酒を飲むから、1時間以上かけてゆっくり食べている。

 
しかし、昼は今も早い。気が焦るのもあるし、心からそういうものだと思っているからだ。

 
「ええ職人になれへんぞ!」と怒りの形相で言われたあの景色。

私の左斜め後ろのドアが開くなり怒鳴られた。

今でも鮮明に覚えているし、とても良い思い出だ。

 
物の道理を教えてくれたT店長に感謝している。職人にはなっていないが全て共通していると思う。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
posted by orangeknight at 15:48
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