
「命」(めい)というのは、安岡先生曰く、絶対性、必然性を表し、数学的に言うならば「必然にして十分」という意味を持っているそうです。
非常に興味深い解釈です。
この本にも命(めい)のつく文字がいくつも出てきました。
そもそも「いのち」とは「命」(めい)のごく一部にすぎないらしく、命(めい)には人間の恣意、ほしいままな気持ち、人間の無自覚な本能や衝動というようなものではどうしようもない、絶対的、必然的な何かの意味を表しているという。
生命とはそういうものだと考えれば、生きなさいとされているのが腑に落ちる。
命名も同じ。その名の如く生きなければならない。もっと意味を知らないといけないし、伝えないといけない。
命(めい)をしる「知命」、そして、そのために命を立つる「立命」は以前から学び少し知っているのですが、あらためて安岡先生の言うように、人間学問を修養し、宿命に身を委ねるのではなく、自分で自分の運命を作っていくのだというのが身に染みますし、感動すら覚えます。
こういう本を読むと、日常の判断は経験則ではなく歴史や、優れた人の教えでするものだとまたあらたに思い知らされます。
いつも側に置いて繰り返し読む本だと思いました。