今日の日経新聞の2面です。中古住宅を調査したうえで売買する制度が、施行から半年たっても広まらないという記事です。
私は当たり前だと思います。
なぜなら売り手は調査されたら家の値は下がりますし、職業柄この手の申請は煩雑なのを知っていますが皆さん面倒だからです。
リフォームという仕事を生業にしている私はこう考えています。
「中古住宅を買うのであれば築10年まで」
これは「住む」という目的においてに限り、投資という名目であればまた違う意見なのですが、たくさんのおうちをリフォームさせていただき、間違いないと考えていますし、聞かれたらそうお応えしています。
現場目線で言いますと、まず築10年を過ぎると急激にあちこちの老朽化が進みます。坪80万円以上のおうちならまた違いますが、それ以下の坪単価のおうちではそこからリフォームにかかる費用が年々増えていきます。
一見安く買ったような感じがしても外壁を塗装し、水廻りを年々改修していくとなると、2000万円くらいの家ならすぐ建ちます。
ましてや20年以上経過した普通の家を買うなどは絶対に止めるべきです。本格的な建物なら違いますが、普通のおうちの20年以上の物件を買うのは私は「ババを掴んでいる」とまで思います。
自分で建てた大切な家や新築で買って大切に扱ってきたおうちでも、それくらいになると床下や屋根、外壁、配管などに傷みが顕著になりますが、その年数で売られている物件はだいたい壁や床を壊すとシロアリでやられていたり、風呂まわりの土台が腐っています。
配管も鉄管が錆びていて解体後に交換しないととなるんですよ。
スケルトンにしてリノベーション目的で買うのなら良いですが、築20年以上の物件を800万円で買って、500万円でリフォームして住もうなどとお考えならそれは失敗へのスタートです。
耐震基準においてもそうです。
いまどき昭和56年より後の新耐震基準の家などと言うのは当然であり、そこは悩むような問題ではありません。
重要なのは2000年なのであります。1995年の阪神淡路大震災で木造の基準が変わりました。
今回のブロック塀の法改正でもそうですが、世間を賑わす出来事があれば一気に法律は変わります。
2000年より前は木造の地盤調査も義務化ではありませんでしたし、筋交いや耐震の金物などかなり考え方が変わっています。
それ以前の建物は下からの突き上げの地震があれば柱が土台からすぐに抜け、2階建ての建物なら1階はクシュンとなります。
2000年で今から18年前ですから、それ以上前の建物など論外ですし、後からのメンテナンス費用を考慮すると築10年が一つの判断基準となるのです。
さまざまな考え方や想いがありますから、ご自身で判断されたらよいと思いますが、解体してから新しいものを作るリフォームを専門としている会社の責任者としてそういうふうに考えています。
中古住宅を購入し、目に見えるところをうまく直し、素人目に「きれいなおうち」と感じさせ転売するようなビジネスモデルを私がしないのはそういう考え方に基づくものです。
自分で住んでの30年のおうちのリフォームと、築30年の中古戸建てを購入してのリフォームは、似て非なるものであると思います。
住むために中古住宅を購入するのであれば築10年まで、それ以上の築年数ならフルリノベーションの覚悟があるなら良いですが、安くあげるためならかえって高くつきますよ。
2018年12月01日
中古住宅を買うとはこういうことだと考えます
posted by orangeknight at 13:15
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