建物は木造2階建、築40年強、お風呂やトイレはリフォームされていますが(以前にお世話になりました)、台所は建てられた時のままでした。
キッチンの扉も壊れているし、何より隙間風が入り寒い。今回お客様の年齢もご夫婦70歳前後ということで、残りの人生を快適に過ごしていきたいからと工事をご依頼いただきました。
任せるから自由に考えてと言っていただいたので、6畳の台所とその横の6畳の居間を一つのお部屋にすることを提案しました。
また、ついでと言ってはなんですが、その居間の奥にある6畳の寝室も一緒に、3部屋まとめてリフォームしていくこととなりました。
施工前はこのような感じです。これが6畳の台所です。


そしてその左手にある居間が下の写真です。こちらも6畳ありました。下の写真奥に見えているのが台所です。

上の写真を中央の部屋と考え、台所と反対側にこちらの寝室です。

40年間でだいぶん傷んではいますが、いろんな思い出が詰まったおうちでしょう。住んでこられた人にしかわからない思い出があるはずなんです。
私はそんなおうちを解体するときは必ずお客様に「最後よく見ておいてくださいね」「写真撮られましたか」「何か残しておくものありますか」とお聞きします。
中古住宅を買ってリノベーションして転売するんではなく、私はここに何か我々の商売、形には表せない仕事の価値があるといつも思っていますし、自分の仕事に誇りを持っています。
下の写真、この姿を見ると心の中で「今までありがとう」って多分多くのお客様は仰っています。工事をする側の人間は、目の前のおうちを物という側面だけでなく、そういう思いでも見ることが絶対に大切だと思います。


では、始めさせていただきますねとお伝えし、解体工事から着工させていただきました。



キッチン横の壁を壊し、床まで全部一度撤去していきました。
奥の寝室は畳からフローリングへ。現在は布団でご主人様も奥様も休まれていますが、年齢もいってきたし、この機会にベッドにしようかなと言うことなのでフローリングに張り替えです。
そしてこちらの写真の押入れの奥からからスースーと寒い風を感じるということでしたので、断熱工事も念入りに行うことにしました。


キッチンは対面に。今までは居間でご主人様がテレビをご覧になっているのを奥様は「音だけで」料理中は観ることはできませんでしたが、これでこれからは作りながらご覧いただけますし、やはり向かい合っての会話ができます。
「しゃべることなんかないで!」とご主人様は仰っていましたが。




奥の寝室はこのような感じになりました。
窓も入れ替え、部屋ごと新しく、でも柱も見せて和の感じも残しました。


押入れは大きなクローゼットへ。



では、完成の様子をご覧ください。工期は45日でした。





畳はダイケン畳です。半畳のフチなし。市松模様に見えますが、同じ色なんですよ。縦と横の向きを変えておくとこのような色合いに見えます。また、この畳はい草ではなく和紙なので変色もしません。


照明器具はこんな感じです。



システムキッチンはPanasonicのラクシーナを選びました。IHはこちらもPanasonicの人気のラクッキングリルです。

魚焼き器に網がないんですよ。



施工前

施工後

毎日快適だとお客様にはとてもお喜びいただいています。
「プランも仕上がりも、そして施工に携わった職人さん皆さんが本当によくしてくれた」と言ってもらえ嬉しかったですし、本当に良かったです。
昔に比べ、毎日たくさんのお問合せをいただきますし、大きな工事から小さな修理まで毎日あちこちでさせていただいています。
しかし、絶対にお客様にとっては我が家はかけがえのないおうちですし、1軒であり、想い出が詰まっている。
それをいつも意識して初心を忘れずにやっていきたいといつも思っています。
リフォームは人生のイベントです。お客様に満足を感じていただくためには知識と技術とそして何よりも心の日々勉強ですね。