工期は2日間。トイレの床も壁もやり替えてしまい、タンクレスのトイレにし、手洗いは壁に埋め込むというような内容でした。
施工前はこちら

こちらが仕上がりです。

この工事自体は職人みんなの連携で2日間で終わりました。
しかし、その最後の段階で床の養生をめくった時の出来事です。
養生をめくるとなんと床が約1ミリ四方くらいわずかに凹んでいるのです。
うちの会社の原と私で養生をめくって掃除をしていたのですが「え〜、そんなぁ」と唖然としました。
こちらです。



3枚の写真ともそれぞれちょうど真ん中です。見えにくいですが凹んでいたのです。
こういう床材は端から重ねて張っていくのでその部分だけめくるということができません。
また、当然トイレを外さないといけないですし、その日にも仕上がりません。お金もかかる。何よりお客様の満足度を格段に下げる。当然です。
頭の中で「まいったなぁ。なんで、こんな目立つところで。これはものを落としているな。何で誰も気づかないんだ。落とした瞬間に気づいていればそこでやり直せたのに」と色々思いました。
そして、恥ずかしながらその時「いや、待てよ。この角度からならあまり見えないし、ここはお客様には言わないでソッとしておいた方がいいかな」と考えた自分がいました。
これくらいならいいかなと迷ったのです。
多分現場の進行を見ながら15分くらいはもやもやしていたと思います。
結果、でも、やっぱり思い直してお客様に正直にお伝えすることにしました。会社の社是がそれを後押ししました。
リビングの前でお客様をお呼びし、説明し、確認していただき、心から謝罪しました。
すると、お客様は笑顔で、ご夫婦ともに「これくらいいいですよ。どうせ、私たちが使っていても傷つけてしまいますし、全然目立ちませんから」と言ってくれたのです。
恥かしかった。迷った自分が。それと、予想していないお応えに申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
我々の建築業はクレーム産業なので、大なり小なりそれはつきもので、短い髪の毛1本の傷でも床を張り替えなんてことは起こりえます。
それなのにそんなふうに言ってくださり。
もちろん私も補修屋を入れさせていただきますと言いましたが、それもやはり直した跡はそこに焦点を合わせればわかります。
結局、1万円だけ値引きをさせていただきました。
お客様はそれもしてもらわなくていいですよと頑なにおっしゃられましたが、そんなわけにはいきませんと渋々ご納得いただきました。
これくらいなら、と一瞬でも思った自分が恥ずかしいですし、社長としても未熟だと思いました。
そして、自分も逆の立場になった時、そういう寛容な気持ちを持って相手にもっともっと接しないといけないと学ばせていただきました。
お客様は40歳前後のご夫婦でした。
同時にカーポートの工事もさせていただいたんですが、とてもお喜びいただけました。
すみませんでした。そして、本当にありがとうございました。すえながくおつきあいしていただけるよう、これからますます精進します。
そんなことがありました。書きたいなぁと思って写真を撮っていました。自戒を込めて。