今日の日経新聞の15面に面白い記事が載っていました。
組織論について現在常に考えているので、この記事にとても感銘を受けましたのでご紹介します。
記事からそのまま
イソップ童話「アリとキリギリス」で描かれているようにアリは働き者だ。しかし、北海道大学の長谷川英祐准教授らは、働くアリばかりを集めると必ず働かないアリが出てくる現象を実験で立証した。
働かないアリがいるから、不測の事態に対応できるとみている。
グローバル競争に負けじと効率性ばかりを追求する人間社会だが、アリ社会に潜む巧妙さに見習うべき点があるかもしれない。
実験では体調1㌢弱のシワクシケアリ150匹を採ってきて、頭、胸、腹の3カ所をそれぞれ10色で色分けし識別した。
石こうで巣穴を作ったプラスチック製の水槽に入れて、顕微鏡で毎日定期的に何をしているのかを約1ヶ月間観察し、1匹につき72回分の行動をチェックした。
幼虫や卵の世話、掃除など他のメンバーに役立つ作業を労働とみなし、じっとしていたり体をなめたりといった自分のための行動は非労働とみなした。
労働が7回以下の働かないアリが約10%、28回以上のよく働くアリも約10%いた。残りは普通に働いていた。
働きアリのなかにも働かないアリがいるのは、これまでにも知られていた。
働きはじめるための刺激の感度(反応いき値)が個体ごとに違うとされるからだ。
今回の研究がユニークなのは、働くアリだけを集めて飼育し観察したところ、ほとんど働かないアリが10%の割合で出てくることを突き止めたからだ。
長谷川准教授は「どんな集団にしても反応いき値のばらつきがあり、いき値の低い「働き者」が先に働き出し、結果的に「怠け者」が出てきてしまう」と語る。
しかし、働かないアリは何も怠けて働かないわけではない。
周りに働いているアリがいなければ働くし、働くアリと働かないアリで大きな能力の差があるわけではないことは実験でも証明済みだ。
ではなぜ、必ず一定の割合で働かないアリが存在するのか。
長谷川准教授は生き物も疲れる点に着目した。
「疲れて働けなくなったアリが出て来た時に、代わりに働くためではないか」との仮説をたてた。
本来、全員で一斉に働くほうがえさを多くとることができるし、巣の中もきれいになる。
卵もたくさん育てられるはずだ。だが、現実のアリ社会はそう単純ではない。
もし、全員が猛烈に働き疲れ果ててしまうと、突然巣に敵が侵入してくるなどの不測の事態が起きたとき誰も戦えず、巣は滅びてしまう。
世代を超えて巣を守り続けるには、絶滅リスクの回避を最優先して「あえて効率の低い仕組みを採用している」(長谷川准教授)。
この仮説が正しいかどうか、コンピューターでシュミレーションをした。
反応いき値が全て同じ個体で仕事があれば一斉に働く集団と、反応いき値にばらつきがあり働かない個体がいる集団を作り、集団の存続期間を調べた。
単位時間あたりの仕事量は常に一斉に働く集団のほうが高かったが、仕事が一定の期間以上処理されないと巣は滅びるという条件を加えたところ、働かない個体がいるほうが集団は平均して長く存続した。
長谷川准教授は「感度がばらばらで多様性がある集団は有事にも強く、巣を長く存続させるために重要な戦略となっているのではないか」と解説する。
今回の研究内容はアリ社会に限る話で、人間社会にすぐに役に立つ研究ではないが、成果を公表して以来、長谷川准教授は企業の経営者や管理者向けのセミナーに引っ張りだこだ。
人事、組織論に詳しい一橋大学の守島基博教授は「ある程度余裕をもって多様な人材を確保しておくと会社が長続きすると言われる方が、経営者はホッとするのだろう」と語る。
変化に対応するためには余分な経営資源や人材が必要とする考え方は、組織論の研究からも裏付けられている。
ただ、バブル崩壊後の「失われた20年」で、日本の経営者は経費削減やリストラに明け暮れてきた。
効率重視の会社や社会の限界をなんとなく感じる人は多い。
アリ社会はそんな人々の心をとれえているのかもしれない。
(西村絵)
という記事です。
いかがでしょうか?何か考えさせられる内容ではありませんか。
僕は異動とか部署の配置を考えるとき、バランスを考えず、あえて凸凹のメンバーでさせるように意識しています。
やりやすさは考えないようにしています。
不思議なことにしなければいけない立場、境遇になれば人はするものだと思います。
そこで新しい世界が新たに築かれると思います。
姫路別所店のメンバーもそうやって凸凹メンバーで構成しました。
凸凹が数週間でなじんできているのが分かります。
組織論って深いものですね。そして、もっと勉強していきたいと思います。
2013年04月28日
新聞記事から組織論学ぶ
posted by orangeknight at 14:04
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